2022 年 78 巻 2 号 p. I_847-I_852
外来沈水植物オオカナダモの異常繁茂による水域生態系への影響が懸念されており,広域スケールにおけるオオカナダモ繁茂要因の解明が求められる.本研究では,中国地方における5つの一級水系(江の川,太田川,佐波川,高梁川,高津川水系)を対象に環境DNA分析を用いてオオカナダモの繁茂状況の把握を行った.続いて,全ての水系と各水系においてオオカナダモ環境DNA濃度と環境要因(河川水温,地形特性など)との関係を検討した.結果として,オオカナダモは河床勾配の緩やかで土砂堆積の起こりやすい地形に定着しやすいことやオオカナダモが休眠状態になり得る水温の時間数が多いほど定着しにくいことが明らかとなった.また,オオカナダモ繁茂の主要因は流域毎に異なることが示唆された.