土木学会論文集D2(土木史)
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和文論文
明治・大正期の電気軌道敷設と都市基盤形成 ―1900-1920年開業の地方16都市を対象として―
岩本 一将山口 敬太川崎 誠登川﨑 雅史
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2019 年 75 巻 1 号 p. 67-80

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抄録

 本研究は,1900-1920年に電気軌道が開業した地方16都市を対象として,都市構造,事業形態,経営戦略の視点より路線選定の意図および特徴を分析し,電気軌道敷設による都市基盤形成の特質を明らかにした.成果は以下の通りである.1)路線選定について,沿線施設の特徴や市外線の有無より「市内完結」,「市域外遊覧地接続」,「都鄙連絡」の3傾向があったことを示した.2)電気軌道の輸送規模は各都市の人口と強く関係し,人口9万以上の都市では市内で完結し,人口8万以下では市外線が設けられたことを示した.3)民間資本による経営戦略を背景に,各都市の第一期計画路線は,鉄道や港等の交通拠点,官庁施設や中心市街地,娯楽施設を一本もしくは複数本で効率よく接続する選定がされたことを示した.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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