本研究は,日韓併合期の土木史研究の充実に向け,日本国内の文献資料および筆者が入手した当時事業に携わった土木技術者の手記から,まとまった事業群として考察が可能な慶尚南道の道路橋建設事業の実態を明らかにするものである.慶尚南道において同時期に一連の体制よって建設された対象6橋:南旨橋,洛東橋,蟾津橋,鼎岩橋,赤布橋,守山橋について,事業概要,事業時期,携わった土木技術者とその体制等を明らかにした.また多径間ゲルバー橋の支間割における特徴の帝都復興事業の相生橋との類似性を指摘した.さらに主に関連した土木技術者5名の経歴を整理し,うち4名が学んだ攻玉社の橋梁設計を指導した講師陣の設計思想等の特徴を示した.