2012 年 68 巻 5 号 p. I_175-I_183
本研究では,水害リスクの認知や洪水への備えを促す水害リスク情報の表現方法を検討することを目的としている.そこで,まず,水害リスクの高い地域を対象に水害に関する意識調査を行い,「水害への意識」と「洪水への備え」に関する因果構造分析と洪水ハザードマップの評価を行った.それらの結果を考慮して,「洪水ハザードマップ」,「30年確率表記」および「リスクのモノサシ」の3種類の水害リスク情報を作成し,住民に提示した.その結果,各提示情報の特性に応じて水害リスク認知や備えが促されることが分かった.さらに,各表現方法の特徴が活かすために,「洪水ハザードマップ」に「30年確率表記」と「リスクのモノサシ」を付加することで,洪水ハザードマップの理解度と信頼性が向上した.