2013 年 69 巻 1 号 p. 29-40
本研究では,災害時の住民間の協調行動ネットワーク形成モデルとして,スケールフリー性をもつ複雑ネットワーク形成モデルである適応度モデルを導入した.適応度モデルのリンク形成確率の定式化は,個人の状態変数の分布に応じて,災害時の協調行動ネットワークの形成過程・構造と整合的なネットワークを形成でき,広い範囲を対象とした協調行動シミュレーションを行う際に優位である.また,実データを用いたモデルの検証を行うとともに,世帯の適応度の推定を行った.これにより,災害時における住民の協調行動ネットワークとして有効なスケールフリー構造を実際の災害時の協調行動ネットワークが持ちうることと,時間帯によらず協調行動を行いやすい世帯数が不変であることを確認した.