土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
69 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
和文論文
  • 多田 昌裕, 飯田 克弘, 倉内 文孝, 平岡 敏洋, 金澤 文彦, 有馬 伸広
    2013 年 69 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/02/20
    ジャーナル フリー
     本稿では,2009年に実施された京阪神地域におけるスマートウェイ実証実験のうち,阪神高速3号神戸線・柳原合流部における合流支援情報提供,および西出カーブにおける追突防止情報提供の効果について,運転者挙動の変化というミクロな視点から定量的に検証・評価した.筆者らは,アイマークレコーダおよび装着型ジャイロセンサを用いて運転者の視線移動と右足ペダル操作動作を計測し,情報提供の有無によって運転者挙動にどのような違いが生じるのかを調査した.その結果,合流支援情報提供時には合流車両への注意を促す効果,追突防止情報提供時には早めの減速行動を促す効果や,周辺へのわき見を抑制し前方への注視を促す効果があることを確認した.
  • 小嶋 文, 久保田 尚
    2013 年 69 巻 1 号 p. 12-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     地区交通計画を進める中で,サイレント層に関わる問題が多く起こっている.本研究は,サイレント層の存在を許容する計画策定プロセスの有効な手法として,社会実験に着目した.交通規制の変更による交通安全対策が社会実験として実施された地区を対象として,社会実験前後におけるサイレント層の意識を,意識調査への督促,およびパネル調査により捕捉した.その結果,社会実験前の施策提案時のサイレント層と非サイレント層では,施策への賛否意識に差がないが,社会実験後においては,サイレント層は非サイレント層よりも施策を許容している割合が高いことが分かった.また,社会実験の実施により紙上の提案時には得られなかった反対意見を引き出していることが示唆され,サイレント層を許容した計画策定プロセスへの社会実験の有効性が示された.
  • 浦田 淳司, 羽藤 英二
    2013 年 69 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,災害時の住民間の協調行動ネットワーク形成モデルとして,スケールフリー性をもつ複雑ネットワーク形成モデルである適応度モデルを導入した.適応度モデルのリンク形成確率の定式化は,個人の状態変数の分布に応じて,災害時の協調行動ネットワークの形成過程・構造と整合的なネットワークを形成でき,広い範囲を対象とした協調行動シミュレーションを行う際に優位である.また,実データを用いたモデルの検証を行うとともに,世帯の適応度の推定を行った.これにより,災害時における住民の協調行動ネットワークとして有効なスケールフリー構造を実際の災害時の協調行動ネットワークが持ちうることと,時間帯によらず協調行動を行いやすい世帯数が不変であることを確認した.
  • 小嶋 文, 久保田 尚
    2013 年 69 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,住宅地における交通安全対策の実施計画を対象として,社会実験がサイレント層の意識と態度に及ぼす影響について検討するとともに,社会実験の効果に関する情報提供がサイレント層に及ぼす影響について検討を行った.社会実験により得られた交通対策の効果を積極的に伝えることで,サイレント層が対策案に納得している状況ができることを検証した.東京都文京区で実施されたハンプ設置実験をケーススタディとして検証を行った結果,社会実験の効果に関する情報提供が,サイレント層,非サイレント層双方の,対策案への許容度を上げる可能性が示唆された.また,社会実験を経てハンプ設置を許容する人はサイレント層となる傾向が見られた.
  • 池田 清宏, 赤松 隆, 河野 達仁, 高山 雄貴, 坂本 賢二, Reza SOBHANINEJAD
    2013 年 69 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     都市の人口集積特性は,核周辺モデルを用いて,2都市や競技場経済を中心として研究されており,集積分散パターンが分岐により変化することが明らかにされている.本研究では,境界がある線分上に等間隔に都市が分布する線分都市経済における,人口の集積・分散メカニズムを明らかにする.Forslid & Ottavianoの確率論的核周辺モデルを用い,交通費用の低下に伴う,人口の集積・分散挙動を数値解析により調べた.その結果,人口が集積する都市が飛び飛びに離散化し,人口が集積した都市間の空間周期の倍化を繰り返しながら,一極集中に向かうメカニズムが存在することが明らかになった.この空間周期倍化は,競技場経済における典型的な集積挙動であることから,都市数が多い場合に,線分都市経済と競技場経済は類似の挙動を示すことが明らかとなった.
feedback
Top