抄録
本研究では,施策目標を達成可能,かつ総施策実施費用が最小,すなわち最適な施策シナリオを,バックキャスティング・アプローチに基づいて,中国地方を対象とするCO2管理施策立案モデルを定式化することによって導出するシステムを開発した.従来のフォアキャスティング・アプローチでは,最適な施策が必ずしも得られるとは限らなかった.しかし,本研究では,施策目標「中国地方の全自家用乗用車からの2020年のCO2排出量を1990年比25%削減」を達成可能,かつ,総施策実施費用が最小となる時点別のEV購入補助金額,および急速充電器の設置数を得ることができた.また,充電インフラの整備に対する支出額の割合がEV購入補助に対する支出額の割合よりも大きく,現在の車両に対する補助金政策が十分でない可能性を明らかにした.