2014 年 70 巻 5 号 p. I_383-I_393
高齢化が進むなかで,高齢者にとっての健康維持や健康増進は重要な社会的課題である.本研究では,冬期の高齢者の健康活動に着目し意識調査を行った.調査の結果,健康活動を行うことで気分転換になるなど,その効果の認識は高いことが示された.しかし,冬期の健康活動の頻度や内容は低下している.特に,積雪により近所の散歩を行うことができない高齢者が多くみられた.冬期に十分な健康活動を行えていない高齢者は,歩道が安全に整備されていない,どんな運動をすれば良いかわからない,家の近所で運動する場所がないなどと回答している.交通面,情報面,施設面それぞれにおいて困難な状況にあることが明らかとなった.また,これらの高齢者において,歩きやすい歩道を整備することなどの方策が望まれている結果となった.