抄録
本研究は,大阪市の鉄道駅を対象に,住民の効用と路上自転車の撤去頻度の強化に要する限界費用を試算し,撤去頻度の強化の可能性を示唆した.駐輪者にアンケートを実施し,自治体の収入に影響を与える自転車の受け取り行動,駐輪場所の選択の決定要因を明らかにした.また,歩行者や住民にアンケートを実施し,効用として,撤去頻度の強化に対する負担金の支払意志を調査した.撤去頻度の強化に要する限界費用と効用を比較することで,撤去頻度の強化の可能性を示唆した.その結果,九条駅を除く3駅では,撤去頻度の強化の可能性を見出すことができた.また,買い物目的の路上駐輪への許容意識が高い駐輪者や住民ほど,1)保管料の支払意志額が低く,2)路上駐輪を実施する,3)負担金を支払わない傾向にあることが明らかとなった.