2015 年 71 巻 2 号 p. 70-89
近年,社会基盤施設に対する統計的劣化予測手法が急速な発展を遂げている.これらの劣化予測手法では,劣化の進展を離散的な健全度で評価した点検データを用いることが多い.しかし,劣化に対し健全度を判定する際の基準(以下,判定基準)が,当該施設の管理期間中に変更される場合がある.その場合,従来の統計的劣化予測手法を適用することはできない.本研究では,判定基準変更前後の健全度の対応関係をモデル化し,判定基準変更後の新基準健全度で定義されるマルコフ劣化モデルとの混合モデルとして,隠れマルコフ劣化ハザードモデルを提案する.また,同モデルをMCMC法によりベイズ推計する方法論を提案し,高速道路のトンネル照明灯具を対象とした適用事例を通じて,実務への適用可能性と有効性について考察する.