2016 年 72 巻 5 号 p. I_177-I_190
2015年12月に開催されたCOP21において,わが国は「2030年度までに2013年度比マイナス26.0%の温室効果ガス(GHG)を削減する」との目標を表明した.これに対する有効な緩和策の実施が今後の課題といえる.また,局地的豪雨や台風の強大化などによる洪水被害等が多発しており,それは地球温暖化の影響が徐々に現れ始めたと言われている.今後は緩和策に加え,適応策を検討することも必要とされている.本研究は,こうした地球温暖化の緩和策および適応策の評価を行うために最適動学CGEモデルを構築した.本モデルを用い,高規格幹線道路整備を前提として,GHG削減目標を達成するための自動車燃料税増徴率を求めた.さらに適応策評価のために,資本損壊等の回復を内生化した洪水被害費用推計を行った.