抄録
近年,橋梁の長寿命化の検討が行われるようになってきた.高度経済成長期に建設された橋梁は耐用年数を迎え,架け替えや長寿命化の検討が行われている.このような状況の中,地方自治体においても事後保全的な維持管理ではなく予防保全的な維持管理を行うため5年に1度の頻度で橋梁の定期点検が行われている.本研究では橋梁定期点検結果を用いて,健全度が低くなりやすい橋梁を明らかにするために,2期分の点検結果から劣化速度を算出し,劣化速度に影響を与えている環境要因について明らかにする.分析手法としては,数量化理論I類を用いて,各要因が劣化速度に与える影響の程度の把握を行い,分散分析によって各要因の影響がデータのばらつきによる変動ではないかの検討を行った.