抄録
本研究は,津波避難行動におけるグループ歩行の同調行動のモデルを検討した.まず,避難訓練の際に徒歩避難者の人流測定を行い,避難者はグループ歩行と単独歩行に分化し,グループ間で歩行速度に違いがあることが分かった.また,グループ歩行比率は東北地方太平洋沖地震の避難行動より大きく,今回の避難訓練データをそのまま実際の避難に適用するのは課題があることが分かった.次に,同調性を考慮したモデルを提案しグループ歩行の再現計算を行い,グループの形成,グループ間の速度差及びグループ歩行比率を概ね表現するとともに,パラメトリックスタディでは実際の避難行動のグループ歩行比率に近い値となることを示した.ただし,グループの歩行速度の絶対値がやや小さく,歩行速度のモデル化についてより詳細な検討が必要であることが分かった.