抄録
近年南海トラフを震源とする巨大地震による津波発生が危惧され,津波避難誘導等の対策が推進されている.特に,沿岸地域に立地する宿泊施設では,従業員のみならず土地勘のない観光客を交えた津波避難を行う必要があるため対策が急務である.そこで本研究では,愛知県南知多町に立地する宿泊施設を対象に南知多町観光協会を通じて津波防災対策についてアンケート調査を行った.その結果,経営者の防災意識の差が実際の対策に影響していること,観光客向けの対策がネックになっていること,小規模な施設で事業継続が難しいと考えられていることを指摘し,観光地としての早期復興の視点も考慮した施策が求められることを明らかにした.