抄録
本研究では,事業者の事業実態や国・自治体による支援内容に着目することで,乗合事業に対するタクシー事業者の参入に対する態度や参入意向に関する知見を得た.具体的には,近畿圏の法人事業者を対象とした調査を実施し,その結果をもとに数量化II類およびコンジョイント分析を行った.その結果,1)事業の多角化・効率化を図っている事業者は積極的な参入態度を持つ傾向にあるが,2)中規模事業者は参入意向が低い傾向にあること,3)事業者の参入を促すためには欠損補助を中長期的に行うことが必要であり,4)国が推進している「ITシステム導入費の補助」を実施するだけでは不十分であることがわかった.