抄録
本論文では,公共事業の社会的受容に影響を及ぼす要因を包括的に理解するためのフレームワークを提示することを試みた.NIMBYとして取り上げられる代表的な事業である原子力発電事業や廃棄物処理事業を対象に,コミュニケーション研究の知見を援用した上で,トップダウン的なアプローチにより受容に影響を及ぼす要因を整理した.その成果として,受容に影響を及ぼす要因を,受容を働きかける側に関する要因,受容する側に関する要因,受容の対象に関する要因,決定に至る過程に関する要因,及びその他の状況的要因の5つの要因に整理し,それをフレームワークとして提示した.これまでの先行研究との整合性を確認した上で,研究と実務の両側面から提示したフレームワークの活用について考察した.