抄録
携帯電話位置情報は,大量の人々の移動情報を高頻度かつ継続的に取得している情報であり,災害時などの被災・行動状況をこれまでとは異なった視点からリアルタイムに把握できる可能性が高い.本研究では,「災害時に都市機能・人々の生活行動パターンがどのように低下し,回復してきたのか?」という情報に着目し,携帯電話位置情報からこれらの情報を得る方法を提案した.そしてこの方法を,平成28年熊本地震時の混雑統計®データに適用した結果,避難者数のデータともおおむね整合性が取れているもので,十分に災害時の情報を把握できることが確認された.この情報は,モニタリング・データ提供の体制を整備することで,リアルタイムに得ることが可能であり,外部からの支援物資の量や支援内容を検討する際に活用が期待できる.