抄録
自治体の各部局がある目的を達成するために取り組んでいる開発,施策,施設の立地誘導等は,他の視点から見ると負の影響が及ぶ可能性がある.各部局が開発等を構想する時点で,多視点で影響を簡易的に想定できるようになれば,影響が及ぶであろう他の部局とともにその対策を検討する動機となり,結果的に部局横断的に整合性が確保された開発等となることが期待される.
本稿では,開発等の影響を多視点で評価する仕組みを検討し,実際の都市で試行を行った.そして,各部局の行政実務担当者に対するアンケート調査の結果から,開発等を他視点で評価することに対する重要性が認識されていること,評価指標に対する各部局の反応から各課を横断的に巻き込んだ評価づくりが重要であることを指摘した.