2017 年 73 巻 5 号 p. I_1105-I_1118
道路の旅行時間信頼性評価研究の多くは,観測データ数の確保が容易な単一道路区間を対象としたものであった.他方,広域道路ネットワークにおいて旅行時間変動の長期観測を可能とするプローブ情報が近年利用可能になりつつあり,従来の区間・経路レベルでの評価から,一般的な時間空間領域(e.g. エリア・コリドーレベル)での評価への展開が期待される.本研究では,交通状態を表す諸量の一般的定義に基づいて,任意の時間空間領域で車両の走行軌跡データを集計して得られる総走行距離・総旅行時間の統計値を用い,エリアレベルで旅行時間信頼性指標を算出する方法を提案した.国内の広域プローブデータへの適用を行い,地域的・経年的差異や,交通規制の有無が信頼性に及ぼす影響を分析し,提案手法の一定程度の妥当性・有用性を確認した.