抄録
現在,我が国の地方公共団体においては,少子高齢化や産業・雇用創出,社会インフラの老朽化等の影響により,都市財政は厳しい状況となっている.このような都市財政の問題は,地方部の都市で注目されてきたが,市街地の拡大の影響を受けてきた首都圏の郊外部においても,同様な課題を抱えている.そのため,首都圏においても,行政サービス水準の確保を図るとともに,将来を見据えた都市財政のための対策を先行的に計画,実施していくことが求められる.
本研究では,首都圏を対象とした地方公共団体における財政指標と社会経済データを用いて,都市財政の実態とその特性を分析するとともに,将来の都市財政の推計によるシミュレーション分析,野田市をケーススタディとした縮退の検討を通じて,今後の都市財政の改善に向けた政策展開を示す.