2018 年 74 巻 1 号 p. 35-49
本研究は,災害時の水需給が逼迫する状況下において,災害時に低下する水供給容量に応じて需要調整を図ることで水需給バランスの安定化を目指し,断水による社会的被害を軽減するためのマネジメントの導入意義を提起するものである.なかでも,水道事業者によるコミュニケーションやリスク情報の提供を通じて需要調整を図るためのマネジメント手法を提案する.住民が断水災害のリスクに対する理解を深め,その対処に向けた行動意図の形成を促し,断水受忍限度の向上を図るためのモデルを構築し,幾つかのリスクコミュニケーション実験を行うことで,災害時の需要調整効果を高める情報提供パターンを明らかにする.併せて,地域での水の分け合い意識(共助)を高めるコミュニケーション手法についても考察する.