日本食品工学会誌
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技術論文
高知県産香酸柑橘ブシュカン果皮の乳酸発酵による利用の試み
堀江 祐範秋田 紘長中道 優介奈良 一寛高山 竜大田村 吉教
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2022 年 23 巻 3 号 p. 87-94

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抄録

ブシュカンは,高知県の四万十市で多く栽培されている香酸柑橘の1つである.ブシュカンは特徴的な芳香をもち,四万十市域では果汁とともに果皮も利用され,香りが楽しまれている.一方で,商業的に果汁を搾ったあとの果皮は廃棄物となるため,その利用を試みた.果皮に新たな付加価値を付与することを目的として,乳酸桿菌を用いた乳酸発酵を行った.ブシュカンの花から新たに分離したLatilactobacillus sakei,石鎚黒茶由来のLactoplantibacillus plantalumまたはLevilactobacillus brevisと,ペースト状にし,スクロースを添加したブシュカン果皮とを混合し,37℃で4日間保持した.4日後のブシュカンペーストでは,酸度の上昇とpHの低下がみられた.また,乳酸量が増加していたことから,乳酸発酵が行われたと考えられた.L. sakeiおよびL. plantarumによる発酵物について,d-アミノ酸の産生が認められた.これらのことから,ブシュカン果皮の乳酸発酵は,果皮に機能性を付与し,新たな利用可能性を与えると考えられる.

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© 2022 一般社団法人 日本食品工学会
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