抄録
豪雨災害に対して,住民は災害に関する情報を適切に取得し避難する必要がある.住民の避難のきっかけとなる情報は,自治体からの情報だけでなく,近隣住民の呼びかけ等も含まれる.住民は,複数の情報源に依拠することで避難行動に関する頑健な意思決定が可能となる.よって本研究では,複数の情報源に着目して避難意図形成モデルを構築した.その結果,近隣住民や上流に住む友人の勧めが避難行動のきっかけになることを明らかにした.また,災害の深刻さや避難行動の効果性の認知を高め,避難行動の面倒さの認識を低めることが避難意図形成に寄与すると同時に,避難勧告は行政情報への信頼,近所からの勧めは地域意識,上流に住む友人からの勧めは防災への地域協力意識をそれぞれ醸成することが避難意図を高めるために有効であることを明らかにした.