抄録
2015年12月に仙台市地下鉄東西線が開業した.これにより個々人の移動や,ひいては消費生活全般において少なからず変化が生じたと考えられる.しかし,東西線全体の利用者数について度々報告されるのみであり,沿線住民の利用実態については十分に把握されていない.そこで本研究では,東西線開業前後での沿線住民の移動の変化を捉えることを目的に,パネル調査を実施した.分析の結果,東西線開業の効果は活動範囲の拡大よりも,活動の活発化に現れ,所要時間の短い目的地への訪問回数が増加しているという結果も示された.また公共交通所要時間の平均値の比較をおこなった結果,短縮効果よりも,短縮後の所要時間が訪問回数に影響している可能性が示唆された.