抄録
災害後の被災者の住まいの選択行動を扱った既存研究の多くは多変量解析の基礎的な手法を利用しており,発展的な分析手法を活用することでより有用な知見が導ける可能性がある.本研究では,集団離散選択モデルと決定木の2種類の応用的手法を利用して,2016年熊本地震による益城町仮設住宅居住者の住まいの意向の分析を試みる.集団離散選択モデルでは,車の運転有無などの世帯構成員の個人属性を反映した住まい意向の選択の把握が可能となった.決定木による分析では,持家単身世帯の自宅再建意向の有無に対象を絞った.地震前も単身世帯で,車を運転している50歳代は自宅再建の意向が少ないなど条件の組み合わせによる意向の違いが明らかにされた.