2019 年 75 巻 3 号 p. 181-190
災害による半壊以上の被害を受けた住家に対する応急修理制度は,避難所の早期解消,応急仮設住宅・災害公営住宅の需要抑制などにつながりうる制度である.しかし,過去の災害時において制度に関する様々な課題が報告されている.本研究は,熊本県益城町を対象として,2016年熊本地震における半壊世帯の応急修理制度の利用実態とその課題を明らかにすることを目的とする.まず,2017年7月に益城町が実施した郵送調査データより,制度の利用実態を集計的に明らかにし,自由回答データから制度の課題を整理する.次に2017年11-12月に制度未利用の半壊世帯の20世帯に独自のインタビュー調査を実施し,被災後からの被災者の意思決定の実態や応急修理制度に対する被災者の意識や要望を明らかにする.