抄録
地元住民のための温泉場が,多くの観光客から支持を得る観光地になるには,様々な組織が共通目的のもと協力して課題解決を行う「協働」が必要である.本研究では,熊本県の黒川温泉にてエピソード記述を用いた調査を行い,観光まちづくりにおける協働を解明することを目的とした.調査から得られた観光まちづくりにおける各時代の活動を,課題解決手法,協働に整理し分析した.研究の成果として,黒川温
泉では,5つの課題解決の場において多様な協働がみられ,時代に順応して変化していく協働と,一貫して継続されてきた手法があることが分かった.また,協働の変化の仕方は,組合を中心に観光地の発展とともに広範囲に進化してきたことが分かった.