2019 年 75 巻 5 号 p. I_923-I_932
本研究ではラウンドアバウト(RAB)における自転車の通行安全性について,事故の原因となり得る,環道内で自動車が自転車を追従し,追い越す行為に着目した分析を行う.構造の異なる3か所の RAB での走行調査,観測調査に基づいて,環道内での自転車追越しの発生状況について,走行位置,追従行為の継続時間,走行速度の観点から比較した.その結果,自転車の走行位置が環道の中央に近いほど追越しは発生せず,また,エプロンによる段差がある場合に追越しが起こりにくいことがわかった.一方,左折 ODでは 3 秒程度,右折 OD では 4 秒程度の追従時間のときに追越しが発生しやすく,さらに,追従開始時の自動車の走行速度が自転車の速度よりも大きくなると追越しが発生しやすくなることがわかった.