2020 年 75 巻 6 号 p. I_249-I_257
近年,治水・利水だけでなく,自然環境や地域文化を育む河川整備が求められており,川づくりとまちづくりを多様な主体が協働して同時に考え,かわとまちをつなぐ賑わいのある水辺空間の形成を目指す「かわまちづくり」が注目されている.本研究の目的は,かわまちづくりにおける多様なステークホルダーの参加状況を明らかにし,協働の過程・構造を分析することである.そのために,熊本県の菊池川流域を対象に,文献・資料と新聞データベースを分析し,流域の川づくりとまちづくり活動の変遷を整理し,ケーススタディとして菊池市かわまちづくり事業について分析した.研究の結果,多様なステークホルダーが川とまちをつなぐ具体的な空間整備を意識し,日常と非日常をつなぐ地域活動を,無理なく持続可能とする仕組みが重要であることが理解できた.