抄録
本研究では、日本海に生息するホタルイカと、その餌とされる動物プランクトン等を対象に、炭素・窒素安定同位体比を用いて日本海におけるホタルイカの食物網や回遊機構の解明を目的とする。試料は、2011年春に富山県富山市四方と魚津市および兵庫県浜坂町で、漁業により捕獲されたホタルイカを用い、外套長を測定した後、炭素・窒素安定同位体比解析を行なった。現在までの測定結果は、外套長は富山産が兵庫産よりも有意に大きく、炭素・窒素安定同位体比は、採集地域に関係なく全体的に近い値に集まっていた。発表では、産地別ホタルイカの同位体比の他に、ホタルイカの餌である動物プランクトンや、セジメントトラップよる沈降粒子の同位体比も測定し、日本海における食物網を広範囲かつ季節的に比較を行って、考察を深める予定である。