2020 年 76 巻 2 号 p. 100-113
近年,均質な地理的空間下での体系的な理論解析1),2)により,新経済地理学の枠組みは,その数理構造に応じて類型化できること,モデル類型毎に輸送費用の低下が人口集積パターンに与える影響が定まることが示されている.本研究では,実空間を対象とした交通基盤整備の効果分析においても,モデル構造が分析結果に本質的な影響を与えることを明らかにする.そのために,既存の理論的知見で示されたモデル類型別に,交通基盤整備が人口分布に与える影響を調べる.そして,そのモデル類型の違いが,地域間輸送アクセスの改善効果を根本的に変化させる要因となることを示す.