2021 年 76 巻 5 号 p. I_1225-I_1234
東京都市圏は日本の産業・経済の中心であり,かつ大消費地でもある.物流施設の立地は物資全体の流れに影響するため,適切な立地誘導の実現が重要である.工場,物流施設,店舗等の施設種類が同じでも,配送先が異なれば,上流・下流といったサプライチェーン上の位置も異なり,立地場所にも影響を与える.本研究では,1) 東京都市圏の物流施設をサプライチェーンの観点から類型化し,その地理的特性の基礎分析を行うこと,2) その結果から説明変数を設定し,サプライチェーン類型別に立地選択分析を行うことを目的とする.分析の結果,サプライチェーン類型によって立地要因に大きな違いがあることが分かった.また,本研究で独自計算した変数「複数配送先の重心への距離」が最も立地に影響を与え,特に工場で配送距離・重量が考慮されるといえる.