2021 年 76 巻 5 号 p. I_41-I_49
膨大な生活道路を管理する市町村において,効果的な舗装メンテナンス・マネジメントを実現させるためには,まず,定量的かつ網羅的な舗装点検を実施し,そのデータベースを活用することが重要となる.本研究では,車載カメラと深層学習モデル(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた舗装点検システムを開発し,室蘭市の管理道路815kmを対象とした点検を単年度で実現させた.まず,既存の目視点検や路面性状調査との比較を行い,本システムによるひび割れ評価が十分な精度を有することを示した.次に,室蘭市管理道路の点検データを用いて,舗装劣化箇所のスクリーニングや舗装維持修繕のLCC推計を試み,これらの結果から,本システムおよび舗装点検の全数調査データの有効性を示した.