2021 年 76 巻 5 号 p. I_545-I_555
魅力的な景観は重要な観光資源となる.なかでも道路利用中に体験する景観は,地域の印象に大きく影響する.このため,欧米を中心に観光資源としての道路景観を活かした施策も多い.しかし,日本では道路空間での景観配慮の不十分さから,魅力ある地域景観が十分に生かされていない.この原因の一つに行政計画に道路景観の重要性が考慮されていないことが考えられる.本研究では,景観法に基づく景観計画への景観重要道路の指定状況の全国調査および北海道の自治体へのアンケート調査から,観光資源としての道路景観の活用に関する課題について考察した.その結果,ルーラルエリアの沿道に魅力ある景観を有しながら,道路空間の景観配慮が十分位置づけられていないことや,景観重要道路の指定の有効性が十分理解されていないなどの課題を明らかにした.