2021 年 76 巻 5 号 p. I_767-I_775
我が国では,人口減少社会の進行に伴い路線バス事業の維持が困難な状況にある.一般的に交通需要推定の基礎情報にはPT調査が用いられるが,PT調査は調査頻度が低く,逐次変化する乗車需要の把握が困難である.そこで本研究では,逐次データが更新されるスマートフォン位置情報及びバス運行情報からバス需要を把握する手法を提案する.具体的には,スマートフォン位置情報から推定したOD表及び位置情報のマッチング分析により,PT調査と同等の精度でバス需要を把握することが可能であることを示した.また,それらの結果をもとに路線バス選択モデルを提案し,平日休日別に現況・将来バス分担率を把握することができることを示した.