2021 年 76 巻 5 号 p. I_85-I_92
本研究では,生活道路を対象として,近隣住民や修繕効率化を考慮した舗装劣化箇所の面的な抽出手法を構築した.具体的には,舗装点検や住宅立地のデータを用い,舗装ひび割れ率と住宅の空間分布に基づいて修繕対象の優先順位付けを行う.まず,舗装点検データを用いて,ひび割れ率が正の空間的自己相関を有することを明らかにした.次に,住宅近接性を考慮した修繕必要度を導入し,ひび割れ率の空間ラグとの関係から優先順位の診断基準を構築した.これを実道路に適用し,舗装劣化箇所がまとまっているエリアが優先的となり,近隣住宅の延床面積が大きいほど優先箇所が一体化することを示した.このように優先箇所を面的に抽出できれば,住民へのサービス水準向上や修繕の効率化と費用削減が期待できる.