2021 年 76 巻 5 号 p. I_93-I_100
近年,利用者数の減少によって厳しい経営状況にある地方鉄道路線において,観光列車の運行など鉄道自体を観光資源として活用するといった鉄道への本源的需要を喚起する施策が数多く行われている.このような施策を考えていく上では,交通にかかる時間が負の効用をもたらすという考え方だけでなく,交通機関がもたらす正の効用の効果についても考慮する必要がある.そこで,本研究では交通機関の選択要因のうち,正の効用をもたらす要素を「本源的要素」と定義した上で,本源的要素に対する支払意思額を調査する.また,本源的要素による効用は乗車する時間によって変動する可能性があることを踏まえ,時間による効用の大きさの変化についても把握し,鉄道利用がもたらす正の効用を定量的に評価する.