2021 年 76 巻 5 号 p. I_879-I_887
国土交通省と警察庁により自転車施策に関するガイドラインが発出された2012年以降,自転車専用通行帯や車道混在といった車道通行を基本とした自転車通行空間の整備が進められており,車道を通行する自転車が増加している.自転車の車道通行では,限られた空間での自転車同士の追い越しや駐車車両の回避のための進路変更が発生するため,安全を確保するためには追い越される自転車や後方を走る自動車への意思表示(交通コミュニケーション)が重要と考えられる.そこで本研究では自転車利用者と自動車ドライバーにアンケート調査を実施し,自転車の追い越し・進路変更時における両者の交通コミュニケーションに関する意識を把握した.その結果,交通コミュニケーションの必要性が明らかとなり,その方法や実行可能性についての知見が得られた.