2021 年 77 巻 4 号 p. 375-388
本研究では,広島県広島市を対象に土砂災害リスク軽減の観点から将来の都市構造のシナリオ(減災型シナリオ)を作成し,そのシナリオを6つの評価分野から18の指標を用いて多面的に評価した.その結果,(1) 2015年に比べ,2040年の土砂災害警戒区域内人口は減少しているものの,2040年人口の約17%が居住しており,将来的にも少なくない居住が見込まれること(2) BAUに比べて,減災型シナリオはすべての評価指標で評価が高く,集約化の効果は一定程度みられること(3) 土砂災害警戒区域内で耐用年数を迎える住宅の建替更新を規制し,これらの立地を居住誘導区域に誘導することができれば,一定程度,持続可能な都市構造を実現することも可能と考えられること等が明らかとなった.