2022 年 77 巻 5 号 p. I_149-I_159
南海トラフ地震の発生に際して国が実施を計画している避難者への「プッシュ型支援」について,名古屋市での実行可能性と効率性を検討した.物資の積み替え時間などを仮定した上で地域内輸送拠点(二次拠点)の利用の有無や組み合わせによる輸送時間の増減の検討を行った結果,広域物資輸送拠点(一次拠点)から二次拠点への輸送の集約によって輸送の所要時間を短縮でき,二次拠点を利用する場合でもその総所要時間を利用しない場合に近づけられることがわかった.さらに,地震災害による道路ネットワークのランダムな寸断をデータ上で再現した上での輸送の到達率に関する検討を実施した上で,そのような道路ネットワーク被災時における地域内の基幹的な道路ネットワークの優先的な復旧が到達率を改善させることを示した.