2022 年 78 巻 6 号 p. II_130-II_141
モビリティ・マネジメント教育として,身近な「交通」を教材とすることは,学校教育の目標である国家・社会の形成者,すなわち市民・国民として行動する上で必要とされる資質(公民的資質)を養うのに有用な対象であると考えられている.しかしながら,単純に「交通」を教材とすることで,学校教育現場で,自然と広がっていくものではなく,適切にMM教育を普及・拡大するためには,戦略が必要であり,その戦略の第1歩が文部科学省が定める学習指導要領に沿った学習内容とすることにあると考えられる.本研究では,平成23年より10年間に渡り継続的に実施,さらに,平成29年3月に改訂された学習指導要領にも対応したMM教育を実践し,高評価を得ている札幌市のプロジェクトを考察することでMM教育の普及・拡大に係る戦略を明らかにした.