2022 年 78 巻 6 号 p. II_613-II_622
我が国では,人口減少及び小規模需要への対応等を背景として民間事業者によるバス路線の運行が困難となっている地域において,各地域の実情に応じた自治体主導によるデマンド交通やコミュニティバスなどの導入が増加している.本研究では,既往の地域公共交通に関するマニュアル,手引き及び特色のある導入事例のレビューを通し,自治体が現場で直面する課題へ対処する上で想定される論点を抽出し,その内容ををもとに,デマンド交通及びコミュニティバスを導入している自治体にアンケート調査を実施し,デマンド交通及びコミュニティバスの地域や費用面の差異,並びに導入時における検討項目の違いについて整理及び分析を行った.その結果,導入地区や費用,また対象利用者や運行形態といった各輸送システムの特性を踏まえている状況が観測された.