2023 年 79 巻 11 号 論文ID: 23-00112
振動モード計測により構造物の健全性を評価する際,機械学習等の回帰手法が有効となるが,十分なデータ量の確保のため,数値解析により教師データを生成する場合がある.この場合,学習時のデータ条件への過学習により,実構造物に対する計測値を入力とした場合にモデルの推定精度が低下する恐れがある.本論文では,減肉に高感度な局部振動モード特性から部材板厚を推定する機械学習モデルの精度向上を目的として,学習時と推論時のモード特性の差異をFEAおよび計測試験により定量評価し教師データの拡張を行うモデル構築手法を提案する.数値解析に対する検証により,差異の量に応じたモデルの推定精度を明らかにしたうえで,部材計測値に提案手法を適用したところ,従来手法と比べ板厚推定誤差が40%以上低減されることが確認された.