2023 年 79 巻 14 号 論文ID: 22-14002
鋼部材の性能回復としての鋼板あるいはFRPによる当て板接着工法では,設計・照査における接着接合部のはく離の評価が課題である.特に,繰返し荷重に対するはく離強度のデータが少ないことから,疲労設計の基準なども確立されていない.そこで,鋼板に当て板を,エポキシ樹脂接着剤を用いて接着した試験片を作製し,それに繰返し板曲げ荷重を加え,はく離の発生および進展の計測を行った.その結果,静的試験時のはく離時の主応力に対する疲労試験時の主応力範囲の比と繰返し荷重で整理することで,S–N線図を整理し,曲げ疲労特性の評価を精度よく行うことができた.また,引張荷重を受ける際の実験例と比較を行った結果,同様の傾向がみられたことから,作用力によらない評価が可能であることが示された.