2023 年 79 巻 15 号 論文ID: 22-15027
車両・軌道系の連成振動問題を対象に,レールの各種材料物性値・形状特性値の空間的ばらつきが軌道振動応答解析結果に及ぼす影響を,確率有限要素法を用いて評価・検討した.軌道振動モデルは,質点,はり,Voigt ユニットを組み合わせたモデルを採用し,レールの Young 率,質量密度,断面積,断面二次モーメント,およびレール凹凸の空間的ばらつきは Karhunen-Loeve 展開で表現した.動的解析結果へのばらつきの影響の伝播の度合いは,所定数の組み合わせの擬似正規乱数を与えた決定論的解析結果を用い,stochastic collocation method を援用して定量評価した.数値実験結果をもとに,車輪-レール接触力,レール-まくらぎ間作用力,まくらぎ-道床間作用力のばらつきの発現への影響と,車両の走行速度の違いが振動解析結果に伝播するばらつきの増幅度合いに及ぼす影響について検討した.その結果,各作用力においては車両の走行速度の上昇により動的応答が増幅し,解析結果の標準偏差も増幅する傾向が認められた.