2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17035
福島県いわき市新舞子浜地区では,2011年東北地方太平洋沖地震津波においても視覚的に津波減衰が認知できたことから海岸樹林への期待は学術的知見を超えたものがあった。しかし,その減衰過程には砂丘など地形特性が相当に含まれていた可能性が高い.この地区では津波と海岸樹林の関係について複数の学術調査が既に実施されているが,津波減衰過程まではまとめられていない.本研究ではこの新舞子浜地区における,特に津波の周期の違いによる影響を含めた津波減衰過程について数値シミュレーションで明らかにした.得られた主な結果として,砂丘についてはせき上がり現象の後の水位低下により見かけの減衰は大きなものであったが,実質の減衰率は25%程度であった.海岸樹林のよる減衰率は10%程度であり,残りは微標高による減衰とせき止め効果であった.