2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17080
波打ち帯は潮汐や個々の波の遡上と流下により波浪場が時々刻々変化する.これら波浪場と共に変化する砂層内水分量と微地形変化の関係解明を目的とし,現地波打ち帯において調査を実施した.土壌水分量を計測すると共に,同地点の地盤高をレーザー距離計により測量し,両者の関係性の検討を行った.本観測にて設置した土壌水分計は満潮位よりも高い位置に設置していたため,その値は遡上波による影響を強く受けていた.ただし,下層においては,遡上波のみならず潮位の影響も受けて水分量が変動することがわかった.また,土壌水分量と微地形変化の関係より,潮位偏差が小さい下げ潮時には地形変化が生じない一方で,上げ潮時においては鉛直水分量勾配がゼロよりもやや正の値(上層水分量>下層水分量)の時に侵食が生じやすい傾向が見られたものの,勾配が負となる時間帯においても侵食は生じていた.