土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
生態系モデルを用いた播磨灘における貧栄養化対策の評価―河川,大阪湾,二枚貝に関わる施策の効果とそのメカニズム―
古川 桃子アンナ相馬 明郎
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2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17153

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抄録

 播磨灘で漁業被害を引き起こす溶存無態窒素(DIN)濃度の低下対策として,河川からのDIN流入量増加,隣接海域である大阪湾のDIN濃度上昇,二枚貝増加が水質環境に与える効果を春夏秋冬に渡って解析した.本解析は,植物プランクトン4種の生活環を考慮した底生系-浮遊系結合生態系モデルで行った.解析の結果,年間窒素収支でみると,河川からのDIN流入量増加と大阪湾のDIN濃度上昇は,灘外へ流出するDIN量と,灘内で消費するDIN量を増加させた.一方,二枚貝増加は,湾内から灘外へ流出するDIN量と,灘内で生成されるDIN量を増加させた.また,3つの対策はすべて四季を通じてDIN濃度を上昇させ,河川からのDIN流入量増加は,特に兵庫県沿岸表層の夏季DIN濃度を上昇させること,また,二枚貝増加は特に夏・秋季の赤潮軽減の効果が期待されることが明らかになった.

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© 2023 土木学会
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