2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18064
著者らは,浮遊ケーソンの回転系の動揺を抑えるために,直交する減揺タンクをケーソン天端に設置する方法を提案し,室内水理実験や数値流体解析により,その動揺低減効果を確認している.しかし,これらの検討は,主に規則波や理想的なスペクトル形状の不規則波によるものであり,小規模実験では縮尺効果も少なからずあった.本研究では,茨城港常陸那珂港区の東防波堤に用いられる実物の巨大ケーソン(8000t級)に減揺タンクを設置し,不規則波が作用する実海域において動揺低減効果を確認した.減揺タンクのない浮遊ケーソンは,固有周期に近い成分波と共振して,Pitchが大きくなった.一方で,減揺タンクのある浮遊ケーソンは,固有周期近くのPitchの周波数応答を小さくすることができ,減揺タンクは高い動揺低減効果を示した.