2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20003
本研究は,時間とともに変化する豪雨時の状況認識が,避難行動に及ぼす影響について分析し,時間的に変化する避難行動意思決定モデルの枠組みを検討する.2019年の台風19号は,10月12日19時前に大型で強い勢力で伊豆半島に上陸し,関東地方や甲信越地方,東北地方などに記録的な大雨をもたらした.これにより,極めて広範囲にわたり,河川の氾濫やがけ崩れ等が発生し,死者・行方不明者99名,住家の全半壊等4,008棟,住家浸水70,341棟の極めて甚大な被害が発生した.そこで,2020年の3月と6月に被害を受けた1都14県を対象に避難行動の調査を実施した.その中から,避難した人と被害に遭いながらも避難しなかった人に焦点を絞り,豪雨時の避難意識の変化の違いを分析し,そのような違いを避難行動意思決定モデルの中でどのように組み込むか検討する.